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Vo.1 朝日『日米地位協定』解説シリーズ

  2019年1月31日

 今朝の朝日新聞、「日米地位協定」について解説していました。聞いたことはあっても、一般的には馴染みのないこの協定。未だにわからないことも多いです。
 ですが、2008年頃より情報が公開され始め、一般にも、過去の行政協定のことや、東京上空の制空権のことが知られるようになりました。今まで公にされてこなかった情報に対峙した時に、必要以上に困惑しないで良いように、予め知っておくと良さそうな、関連情報と、すでになされている主張を、このブログでまとめました。

 

 『日米地位協定
 外務省のHPを見れば、軍隊の地位に関する協定だとわかります。

 戦後、日米安保条約が発効した1952年には、米国の日本へ対する保護義務は明記されませんでした。1960年、安保条約改正。第5条に「日本の施政の下における領域」の保護義務が明記され、第6条に「合衆国軍隊の地位は…別個の協定…により規律される」と記されました。
 この別個の協定が日米地位協定と称されます。なお。公表されなかった部分は俗に密約と呼ばれました。

 そもそも、『日米地位協定』を必要とするのは誰でしょうか。
 日米安保条約、第10条に答えがあります。(条約締結10年を経たのち)「どちらかの国が願えば1年の告知期間を経て条約を廃棄できる」旨が記されているからです。継続される日米安保条約の現状を見れば、答えは日米の双方だと言えそうです。

 米国からみれば、在日米軍を稼働させておきたい意向は(冷戦の有無を問わず)妥当に思えます。現在、米露・米中の直接・間接的な敵対関係は世界の各所で絶えず、日本は露・中の南下政策の要衝に位置するだけでなく、米軍はアジアでの拠点を、日本に持つことで中東への足がかりの基盤を持てるからです。

 現政権からみれば、沖縄の米軍基地の建設に傾注する点を見ても、安保条約、継続の意向は明白です。2015年9月に可決した安保関連11法案によって自衛隊は活動範囲を海外に広げましたが、実務的には米軍の補強だとも指摘されます。
 
 もし、この状況が一時的なものであり、主権回復のための一つの過程であると見れば、軍拡の方針も理解できるかもしれません。
 またそれであれば、「米国にNoと言える国にしたい」「沖縄の基地問題を解決したい」と考える人々の主張にも重なります。

 一方、一貫して専守防衛を訴える人々は、自衛隊の海外派兵など軍拡方針に異を唱えます。
 例えばこのような主張です。

 1、自衛隊の海外活動が国内に危険を招くという主張
 自衛隊の海外の活動は、停戦合意のある地域に限られますが、「停戦」の定義は常に曖昧だと言われます。
 この活動の結果、日本の平和外交が頓挫し、テロの対象国家になる恐れを生じる、という主張です。
 あるいは、日本が主権回復のために軍事力を増大しても、自衛隊はいつまでも米軍の従属状態から抜け出せない、という批判もあります。理由には、米国の軍事的一体化の要望を日本は拒否できない、第三国によって日本と周辺諸国の緊張関係は煽られ続ける、などがあります。

    現・自衛隊の海外派兵は本当に国益に叶うのでしょうか。

2、武力の使用範囲を国内に制限する主張

 経済大国であれば、有事の際、侵略する側の国家まで損失を被ります。さらに民間外交によって良好な関係が築かれているとしたら、隣国の日本へ対する軍事的侵略の動機は小さいはずです。であれば、自衛隊専守防衛(≒国内の領土内を超えて他国に武力を用いない)に徹するべき、という主張の説得力が増します。

  この主張に対して、対外的な抑止力が働かないという反対論が生じます。周辺諸国の領海侵害が後を絶たない事実も指摘されます。
 発信元の不明なプロパガンダや、それらの印象操作や扇動によって、緊張状態も解消されません。あるいは、第三国によって進む積極的な土地や水源の買収も進みます。

 一方、賛成論者は、常に具体的事案に適宜対処していく方針です。領海問題にも平和的な解決を図り、沖縄の負担問題に対しても自国の防衛力を高め、米軍の撤退を促すことで、解決に繋げられると主張します。
 山積する問題を前にして、現在、これらの平和的解決が、功を奏すためには、高度な言論外交の手腕が問われることは自明です。

 

3、国際協調から平和を願う主張

 この主張は、国連創設から機能不全だった国連軍や、それに代わる平和維持軍を強固にして、世界警察を機能させる主張です。
 故・アナン事務総長などが指摘した安保理の見直しや、現・常任理事国の拒否権の重みを軽減させる提案も、この国連軍の機能不全の改善に関わります。大国の利権を背景に、実現は遠かったのかもしれません。 

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補足:もし分担額の上位数カ国が、改革議案を中心に結束すれば国連の運営資金の過半を超えます。国連の運営根拠は分担金だけではないとしても、国際協調路線の道筋が途絶えた、という訳では無いかもしれません。

 現実を見ると、常任理事国の拒否権を背景に、化学兵器の無差別使用が許される状況は幾度もありました(1999コソボ紛争、2014年、2017年シリアetc)。
 日本にとっても、自衛隊海外派兵の方針と、米従属からの脱却方針が、トレードオフの関係を生んでいます。矛盾の中で、国内の議論も収束しません。この点を解消する第三の方針が必要なのかもしれません。

 

4、その他の敗戦国と米国の地位協定と比べる主張 

 朝日新聞では、敗戦当時の同盟国だったイタリアの地位協定と、日米の地位協定の比較がされておりました。地政学的に西洋とは事情が異なるので、単に、日米の不平等の度合いが高すぎるから改善した方が良い、という見解は局所的すぎると言えそうです。

 以上、幾つかの主張をまとめました。
 

 ちなみに下記の討論番組でも、論客が意見を交えていて参考になりそうです。ツイッターハッシュタグリンクを貼りました。